一般的には顔のマッサージの目的というと美肌美顔のためという認識が強いのですが、それだけではないのです。フェイシャルセラピストを目指す方はその意味を知っておきましょう。
1美肌・美顔
肌と顔つきや表情というのはは区別されがちですが、健やかで美しい肌に栄養を届けるのは柔軟な筋肉と血液やリンパの流れです。顔は肩こりのように自覚症状はありませんがあちこちが非常にこわばっているのです。定期的にほぐし柔軟さを保つことで肌老化・表情老化に歯止めをかけることができます。
2メンタルケア
顔の筋肉には表情筋と呼ばれる筋肉があります。表情筋は身体の他の筋肉とは大きく異なる特徴を持ちます。それは気の持ちようがダイレクトに伝わる部位であるということ。ですので1でお伝えした顔のこわばりというのはほとんどが気持ち心のこわばりであると言えます。またこの気持ちと顔の関係は一方通行ではなく、顔をほぐすことで気持ちもほぐれていくのです。他の部位のマッサージに比べ、圧倒的にメンタルケアとして有効であると言えます。
3脳ストレスケア
顔の皮膚触覚というのは非常に鋭く、わずかな変化の差や触り方によってイメージを喚起しやすい部分でもあります。目を閉じてご自分の太ももに手のひらを使って丸を描いてみてください。それと同じことを顔に対してやってみましょう。なんとなく描かれた円が脳裏にイメージとして浮き出してきませんでしたか?音楽性のある響きや速度の緩急、触感の変化によって感覚が動きくたびれた脳に集中とリラクゼーションを与えます。
4自律神経ケア
顔にはC触覚繊維というものが存在します。
C触覚繊維は脳では自己の意識や感情と係る「島皮質」や「前帯状皮質」、さらには自律神経の中枢である視床下部にも届いています。自分自身の情動を感じる役割も果たし、自律神経のバランスを整えて、自己の存在感といった自己意識を高めるはたらきもしている。さらには共感という他者の情動を知覚する機能まで持っている。
山口 創氏 皮膚感覚と脳よりhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsop/42/2/42_9/_pdf
5全身のストレスケア
顔は神経の交差点とも呼ばれ、表情に現れないような何気ないことでも全て顔の神経に伝達されているのです。その神経がくたびれてくると肌の循環にまで影響が及びます。その顔に深いリラクゼーションを与え神経のこわばりをほぐすことで全身のストレスケアに繋がります。ですから顔のマッサージ後にはデコルテや背中のハリが解消されていたり、足先がぽかぽかと暖かくなっていたりするのです。
このように顔をほぐす意味を知り、理解し、サロンの実務経験とすりあわせて「なんでだろう?」を常に考え、自分なりの考察や理論を深めていくことで「あなたのサロンだからきたい」お客様が増えるのではないでしょうか?